訃報
- 吉田玉男さん死去 品格の中に色っぽさ <評伝>
(読売新聞) - 文楽の人形遣い人間国宝 吉田玉男さん死去
(東京新聞)
今日は出かけていたため、朝、新聞を読まずに家を飛び出しました。そしてお昼…文楽仲間からのメールで、吉田玉男さんの死を初めて知りました。ざぁーっと血の気が引くのが分かったけれど、出先だし取り乱すわけにもいかず、そこはグッと我慢。家に戻るまで、ともかく一時忘れることにして、昼間を過ごしました。
そして、家についてすぐ新聞を見ると、第1面に訃報記事が…。
最近、文楽を観に行っていないとは言え、休演が多いことは知っていました。ご高齢なだけに心配だね、と仲間とよく話したものです。それが、ここで、現実となってしまった。
87歳。
最後の舞台は、昨年の夏休み公演「桂川連理柵」の長右エ門。
私が玉男さんの最後の舞台を観たのはいつだったかなぁ。それを思い出すことは出来ないけれど、訃報を聞いてすぐに浮かんだのは、「義経千本桜-渡海屋大物浦の段-」での平知盛。碇と共に海へ沈むまでの姿は忘れられない。それから、「芦屋道満大内鑑」の保名。「仮名手本忠臣蔵」の大星由良助。「曽根崎心中」の徳兵衛。…色々、そう色々浮かんできます。
どちらかというと、人形遣いさんには注意を払うことが少なかった。それでも、玉男さんの使う人形はやっぱりどこか違って見えていた。…でも、その遣い振りは、もう見ることは出来ない。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
そして、今まで素晴らしい舞台を見せて頂き、ありがとうございました。